たとえば、留学先のキッチンで週末の話が始まったとする。何を話しているかはわかる。自分も行ってみたい。でも、言葉を探している間に予定が決まり、誰からも「一緒に来る?」とは聞かれなかった。
露骨に嫌なことを言われたわけじゃない。それでも、部屋にいるのに人数に入っていないようで、帰ってからじわっと寂しくなる。
そんなとき、「もっと英語が話せれば」と反省会を始めてしまわない? 僕は、友達を作る準備と、英語を上達させる準備を、同じものにしなくていいと思う。
英語が得意そうな同行者にばかり説明される。グループで質問が自分の前だけ飛ばされる。こちらは返事を考えているのに、沈黙を「わからない」の合図として受け取られてしまう。
こうした場面では、言葉を待ってもらえる余白がほしいんだよね。単語を知っているかどうかだけでなく、話し始めるまで相手が待ってくれるかどうかも、会話に参加しやすいかを左右する。
相手は気を使ったつもりかもしれないし、単に急いでいたのかもしれない。英語力を決めつけたのか、見た目への偏見があったのか、その場では判断できないこともある。それでも、置いていかれた寂しさまで「気のせい」にしなくていい。
英語を勉強することは、自分の選択肢を増やしてくれる。でも、人の話を聞くという最低限の配慮は、流暢になった人だけがもらえるご褒美ではない。

この記事のきっかけは、日本とカナダなどでの差別の感じ方をつづった投稿だった。投稿者は、日本では日本語が話せないと思われて距離を置かれる一方、話せると温かく接してもらえることがあり、カナダでは流暢に話せても居場所がないと感じる、と書いている。
これは一人の体験で、どの国の差別が軽いかを決められる材料ではない。ただ、海外で暮らす日本人にも考えるきっかけはある。言葉が通じることと、仲間として迎えられることは、必ずしも同じではないんだ。
暮らしやすさと居場所の違いを分けて考えてみよう。街が好きでも、職場の輪には入りづらい。生活には慣れたけれど、週末に連絡できる人がいない。そういう気持ちは矛盾しない。
「その国はフレンドリーって聞くのに」「日本にいた頃より自由なはずなのに」。そんな比較で、今日あった嫌なことを打ち消さなくていい。国の感想をまとめる前に、自分がどんな関わりを求めているかを考えていいんだよ。
会話から外されたあと、発音も表情も全部やり直したくなることがある。でも、「自分は海外生活に向いていない」まで結論を飛ばすと、次の外出まで重くなってしまう。
まずは、起きたことと自分への評価を分けてみよう。「向いていない」ではなく、「質問したのに、返事は同行者に向けられた」。そのほうが、次に何をしてほしいかが見えやすい。
余裕があれば、短く伝える準備をしておくといい。英語の長い説明を暗記するより、次のような意味の一言を、自分が使いやすい表現で言えるようにしておこう。💬
伝えたあと、相手が話し方を変えてくれるかも大切。同じ無視やからかいが続くなら、その人との距離を置いていい。職場や学校で繰り返される問題は、日時や発言を記録して相談先に持っていく選択肢もある。
いつも自分が場を丸く収める必要はないし、毎回その場で言い返せなくても失敗じゃない。

友達作りを「初対面で面白い英語を話す勝負」にすると、かなり疲れる。大人数の飲み会で冗談に追いつけないだけで、社交性まで採点された気分になることもあるよね。
そこで試したいのが、短い時間と繰り返せる約束。毎週同じ時間の散歩、授業のあとの十分だけのコーヒー、近所の写真好きとの小さな撮影会。話題を用意し続けなくても、一緒にすることがある予定を選んでみよう。📷
たとえば、最初は散歩の途中で気になった建物を指さすだけでもいい。次に会ったら「先週の写真、見せて」と話を続けられる。前の会話が少し残っていると、毎回ゼロから自己紹介をしなくて済む。
誘うなら、「今度遊ぼう」より「土曜の午前、近所を二十分くらい歩かない?」くらい具体的に。長時間ずっと英語を話す予定より、自分も相手も参加するか決めやすい。
何回会えば友達になれる、という保証はない。でも、気楽にまた会える形なら、その人ともっと話したいかを確かめる時間が持てる。
言い間違いを全部直してくれる人が、いちばん居心地のいい相手とは限らない。今日は文法を練習したい日なのか、ただ仕事の愚痴を聞いてほしい日なのかでも違う。
見たいのは、お互いに向ける小さな関心。探している単語を少し待ってくれる。前に話した趣味を覚えている。誘いを断るときに、別の日を提案してくれる。こちらも相手の話を聞きたいと思える。
英語を母語とする人だけに友達候補を絞らなくてもいい。同じように海外で暮らす人と、言い直したり調べたりしながら話せるなら、それもちゃんと英語で築いている関係だ。
日本語で安心して話せる友達がいることも、逃げではない。落ち着けるつながりを持ちながら、英語で話す相手を少しずつ増やしていけばいい。
友達ができても、差別や制度の問題が解決するわけではない。それでも、自分の言葉を待ってくれる人が一人いると、嫌な出来事を一人で抱え込まずに話せる。

プロフィールに「英語を頑張っています」とだけ書くより、「公園で写真を撮るのが好き。短い散歩に付き合える人がいたらうれしい」と書いてみる。何を一緒に楽しめそうかが伝わると、誘う言葉も考えやすくなる。
SewaYouは、地図から近くの友達や言語交換の相手を探せるアプリ。共通の趣味を入り口に、「ゆっくり話してもらえると助かる」と添えて、短い予定を提案してみよう。
最初に会うなら、人のいるカフェや公園で、無理なく帰れる時間に。目標は完璧な自己紹介ではなく、「この人と、もう少し話したいな」と思える時間を持つこと。🌱
英語が完成する日を、友達作りの開始日にしなくていい。SewaYouをダウンロードして、次の週末に一緒にできそうなことから始めてみよう。