知り合いが、英語圏に引っ越して、子どもを現地の学校に通わせてる。ある日、学校から英語のお便りが来た。どうやら「◯日は、自由な服装で来ていいですよ」みたいなことが書いてあったらしい。でも彼女の英語はまだあやしくて、確信が持てなかった。「特別な日なんだから、きちんとした格好が無難でしょ」。そう思って、いちばんちゃんとした制服で子どもを送り出した。
夕方、子どもが帰ってきて言った。「ママ、今日ね、みんな普段着だったよ。制服、私だけだった」。
一度ならまだいい。問題は、意味がよくわからないまま、それを何回か繰り返してたこと。ある夜、ふっと全部つながった。「私、ずっと勘違いしてたんだ」。顔から火が出るって、こういう感覚だよね。😳
笑い話だよ。でも、"まだ勉強中の言語の国"で暮らしたことがある人には、笑えないくらい身に覚えがあるんじゃないかな。

自分が完全にはわからない言語の中で暮らすと、人生が急に、空欄だらけのプリントみたいになる。
役所からの手紙。学校のお便り。スーパーのレジでの一言。みんなが当たり前に知ってて、誰も口に出さないルール。ぜんぶには聞き返せないから、人はいちばん自然なことをする。空欄は、推測で埋めるしかない。そして、そのまま進む。
たいていの場合、その推測はだいたい合ってるし、何も起きない。でも、それがこわいところ。間違えても誰にも怒られないから、間違ってたことに、そもそも気づかないんだ。
ここがもうひとつのポイント。海外の人たちは、案外あなたのミスを指摘してこない。
わざと隠してるわけじゃない。単に、気づいてないか、「まあいいか」で流してるだけ。「How are you?」に律儀に体調を全部答えても、相手はニコニコしてる。「今度コーヒーでも行こうよ」を本気の約束だと思って連絡を待ち続けても、誰も「あれは社交辞令だよ」なんて教えてくれない。
だから、変な静けさの中にいることになる。派手に間違えるんじゃなくて、静かに、長く、間違え続けられる。小さなズレは誰にも爆発させられないまま、ただ静かに続いて、あなたを"ちょっとだけ外側の人"にしていく。

ここで、いちばん言いたいことを言うね。あの「ずっと勘違いしてた」の赤面は、あなたが英語をできてない証拠じゃない。
考えてみて。制服で送り出した彼女は、ちゃんと現地の学校とやりとりして、英語のお便りを読もうとして、子どもを海外で育ててる。「How are you?」に答えすぎて赤面する人は、ちゃんと英語で誰かと喋ってる。社交辞令を真に受けた人は、ちゃんと誘いに乗ろうとした人だ。
恥をかける人は、ちゃんと"中"にいる人なんだよね。赤面は、教科書の外に出て、本物の場面で実弾を撃った音。一度も勘違いしない人は、たいてい一度も外に出てない。日本人だけの輪の中で、安全に、何も起きないまま過ごしてる。それはそれでラクだけど、その人には、この赤面すら起きない。
僕も昔、英語で盛大に的外れなことを言って、あとで思い出して布団で悶えた夜が何回もある。でも今わかる。あれ全部、「ちゃんと生きてた」証拠だったんだ。😌

じゃあ、あの制服のループを最終的に止めたのは、何だったと思う? 授業でも、単語アプリでも、もう1年ぶんの推測でもない。「ねえ、これってどういう意味?」って聞ける、たった一人の相手だった。
これは、単語帳や文法ドリルには絶対に用意できないもの。静かな勘違いの連鎖を断ち切るのは、"しょうもない質問"を気軽にぶつけられる、生身の相手なんだ。「これ、普通なの?」「何か持ってった方がいい?」「今のジョーク、どこが面白いの?」。質問はどれもちっちゃい。難しいのは、そんなことを聞ける、気の張らない相手がいないこと。
呪いをほどくのは、気軽に聞ける一人。先生でも、サービスでもなく、一緒に笑って「いやいや、それ制服じゃなくてよかったのに!」って言ってくれる誰か。それがいるだけで、4回目の制服を回避できる。

もちろん、その"気軽に聞ける一人"こそ、まだ持ってない人が多いんだよね。しかも多くのアプリは、電車で3駅先のユーザー名を並べるだけで、本物のコーヒーには繋がらない。
SewaYouは、地図ベースのアプリ。自分の街の近くで、新しい友達を作りたい人が今どこにいるかを見せてくれる。地図を自分のエリアに合わせると、本当に近くにいる地元の人や、同じように海外で暮らす仲間が見える。世界中を探せるけれど、自分のエリアを中心に見れば、実際に会って、しょうもないことを聞ける相手が見つかる。「それ、制服じゃなくてよかったのに」って、4回目の前に教えてくれる人だ。
だから、あの勘違いの話は笑っていい。そのうえで、ひとつだけ覚えといて。海外で暮らす限り、あなたはこれからも色々読み間違える。それでいい、それが"中で生きてる"ってこと。目指すのは、一度も間違えないことじゃなくて、間違えたときに「それ、こういう意味だよ」ってやさしく言ってくれる人が、近くにいること。今夜、地図を自分の街に合わせて、正直なプロフィールをいくつか読んで、いつか"4回目を止めてくれる友達"になりそうな人に、2人だけメッセージを送ってみて。新しい土地にいることは、問題じゃない。聞ける人が誰もいないことが、問題なんだ。😊