知り合いに、TOEIC 850の30歳がいる。8年前、大学のとき600で社会人スタートして、毎年コツコツ上げてきた。金フレ、銀フレ、DUO 3.0、Anki、スタディサプリ、全部やった。リスニングは満点近い。読解も速い。
ある日、職場に外国人のインターンが来た。歓迎ランチに誘われた。「英語できる人いるよ」って言われて、隣の席にされた。
その1時間半、彼はほぼ何も話せなかった。What do you do? Where are you from? の二問で会話が止まった。相手が話すことは聞き取れる。意味も分かる。でも、口から英語が出てこない。気づいたら相手も諦めて、別の同僚と日本語で話してた。
帰り道、彼は気づいた。「あ、俺の英語って、TOEICの中にしか存在してなかったんだ」って。
単語は知ってる。でも、話せない。

単語帳って、終わらない設計になってる。1冊覚えると「次は応用編」「次はビジネス英語」「次はTOEIC990対策」が出てくる。市場としてそうなってる。完成しないからこそ、ずっと売れる仕組み。
そしてあなたは、毎日「単語が足りないから話せない」という前提で、次の一冊を買う。実際は逆。話さないから、覚えた単語が消えてく。覚える量より、消える量のほうが多くなった瞬間、勉強は前進から後退に変わる。😓
これ、けっこうな数の日本人がハマってる。「もう少し単語を覚えてから、ネイティブと話そう」と思いながら、5年経ってる人、本当に多い。3年経って、最初の単語帳の冒頭の単語を、もう忘れてる。
単語帳の設計者は悪くない。あなたが単語帳を「ゴール」にしてしまったのが、唯一の問題。
単語帳が鍛えるのは「読んだら意味が分かる」力。一方、会話で必要なのは「言いたいことが、口から先に出てくる」力。
この二つ、脳の中の処理経路がぜんぜん違う。
単語帳で1万語覚えても、会話で出せるのはせいぜい1500語。残り8500語は「あ、聞いたことある」レベルで、口からは出てこない。試験のときは選択肢4つから選べるから出てくる。会話には選択肢がない。沈黙か、自分から出すか、二択。
読める英語は、話せる英語じゃない。

これ、TOEIC高得点なのに話せない日本人がぶつかってる現実。脳に単語は入ってる。でも、入り口と出口が別々で、出口の方は使ってないからずっと閉まってる。出口を開ける唯一の方法は、人前で口を動かすこと。それしかない。
発音を直すんじゃない。文法を直すんじゃない。単に、口を動かす回数を増やす。最初の数十回は、自分でも引くくらい下手。50回目あたりから、自分の口に少し慣れる。
ほとんどの人がやれない実験を、一つだけ書く。1ヶ月だけ、毎日の英語の勉強時間を半分に減らす。減らした分の時間を、ネイティブの誰か一人と、毎週1時間、リアルな会話に使う。同じ相手で。
最初の1週間、罪悪感がすごい。単語帳が進まない。Anki Reviewが溜まる。「英語が後退してる」って錯覚する。
後退してない。むしろ初めて、本当の意味で前進してる。
3週目、変なことが起きる。覚えたはずなのに口から出なかった単語が、急に出てくる。理由は、覚え直したからじゃない。「使う場面があった」から。
使った単語だけが、自分の単語。
家でフラッシュカードを20回見た単語より、外国人の友達と一回使った単語の方が、ずっと長く脳に残る。あなたの脳は、相手の顔、相手の笑い、その瞬間の空気と一緒に、単語を保存してる。アプリの中の単語には、その文脈がない。だから抜ける。
単語帳に載ってる英単語のうち、あなたが死ぬまでに実際に口に出すのは、たぶん2割。
これ、覚えてる側はあんまり考えない真実。日本のTOEIC教材って、ビジネス英語の細かいニュアンスまで網羅してる。「貸借対照表」「四半期決算」「特許申請」みたいな単語、もし通訳になるなら必要だけど、海外の友達と飲むときには一回も使わない。
それでも単語帳は、それを毎日復習しろって言ってくる。あなたの「会話用の脳」のスペースを、一生使わない単語が占領してる。
ネイティブの友達がひとりいれば、自然にフィルターがかかる。「あ、そういう言い方しないよ」「それ、教科書英語だね」「これは普通こう言う」って、教えてもらえる。あなたが5年かけて覚える単語のうち、本当に使う2割が、自然に浮き上がってくる。あとの8割は、勝手に脳から落ちる。それでいい。

ネイティブの友達がひとりできた瞬間、単語帳との関係が静かに変わる。
新しく覚える単語が、変わる。「火曜日に言いたかったのに、言えなかった単語」を覚えるようになる。それは、教材が用意した単語じゃなく、あなたの生活の中で必要だった単語。覚える理由が体に残ってるから、抜けにくい。
復習する単語も、変わる。覚え直したい単語が、急に明確になる。前の会話で詰まったやつ。それだけ復習する。Ankiに溜まった2000枚、半分は要らないって気づく。
友達は、教材を選んでくれる。
これが、単語帳に苦しんでた日本人がネイティブの友達ひとり作ったあと、よく言うこと。「単語帳の時間、自然に減った。話す時間が増えた。なのに、覚えた単語のほうがちゃんと使えるようになった」って。逆転してる。でも、これが正しい順序。
もし今、TOEIC教材と単語帳とリスニングアプリで毎日2時間使ってるなら、そのうち1時間を、ネイティブの誰か一人との会話に置き換える。これだけでいい。
完全にやめなくていい。半分でいい。残り1時間の単語帳は、「会話で使うため」の準備に意味が変わる。同じ単語でも、覚え方が変わる。

SewaYouは、近くに住んでる「日本人の友達がほしい外国人」と「外国人の友達がほしい日本人」が、お互いに合意した上で会えるアプリ。地図ベースで、デート目的じゃない。あなたの単語帳の出口になってくれる、そんな相手ひとりに会える場所として設計されてる。🌏
単語帳は、リハーサル。会話が、本番。本番に出ない人ほど、リハーサルだけ完璧にしようとする。順序が逆。本番に出てから初めて、リハーサルに意味が出る。
英語は、覚えるものじゃなく、使うもの。