日本語で仕事をして、成果も出している。それなのに、肌の色を理由に発言を軽く扱われる。そんなときまで「もっと日本語を磨けば」「もう少し周りに合わせれば」と言われたら、いったい何を頑張ればいいんだろう。
この記事で考えたいのは、日本で暮らす黒人の社会人をはじめ、人種やルーツを理由に職場で疎外され、日本語でその悩みを読んでいる人のこと。日本で育ったか、移り住んだかにかかわらず、受け入れられるために自分を直し続けるのは、しんどいよね。
僕は、そんな人にまで「もっと積極的に交流しよう」という宿題を増やしたくない。職場の問題は職場の問題として扱いながら、自分を証明しなくていい関係を、職場の外にも持てたらと思う。
日本語で資料を作れる。会議で説明できる。相手の立場も考えて話している。それでも、黒人だからという理由で専門的な意見を退けられるなら、足りないのはあなたの語彙ではない。
大切にしたいのは、能力の証明とは別の尊厳。日本語が流暢な人も、勉強を始めたばかりの人も、敬意を持って接してもらうための試験を受ける必要はない。
「もっとできるようになれば変わるはず」と思って努力してきたぶん、傷つく出来事があると、次に直すところを自分の中に探してしまうこともある。話し方、服装、笑顔。けれど、差別的な言動の責任まで引き受けなくていい。
日本語を学び続けたいなら、自分の暮らしや楽しみのために続けていい。傷つけた相手に、何が差別なのかを毎回説明する役目も、あなたの義務ではない。

嫌な会議のあと、話を聞いてくれる人がいる。それは大事な支えになる。でも、友達ができたからといって、差別的な職場への対応が不要になるわけじゃない。
まずは、自責よりも状況の整理。安全にできそうなら、いつ、どこで、誰が何を言ったか、誰がその場にいたか、業務にどう影響したかを、事実と自分の受け止めを分けてメモしておこう。会社や顧客の機密資料を個人の記録に持ち出すことは避けたい。
社内の窓口に話す場合も、秘密が必ず守られると決めつけず、詳しい話をする前に確認していい。
相談内容は誰に共有されますか。相手に伝える前に、私の意向を確認してもらえますか。
社内で相談すること自体が不安なら、社外の労働相談窓口や労働組合などに、取り得る対応を相談する方法もある。雇用や生活への影響、必要なら在留資格との関係も含めて、自分の状況に合う選択肢を確認したい。
すぐに抗議できなくても、自分を軽んじていることにはならない。どう動くかを考える時間を取ることも、自分を守るための行動だよ。
朝から夜まで働いて、帰宅後も仕事の通知が続く。その状態で「週末はイベントに行こう」と言われても、もう一つ仕事が増えたように感じないだろうか。
目安にしたいのは、今の体力で会える時間。休日の朝に30分だけお茶をする。昔からの友達と少し電話する。今週は休んで、来週の予定を一つだけ相談する。そのくらいからでいい。
業務上、確認できる状況なら、勤務時間外にどこまで対応が必要なのか、何を緊急とするのかを聞いてみる。自分で通知を切るのが難しい職場なら、生活習慣の問題として抱え込まず、働き方の相談として扱おう。
友達に連絡するなら、たとえばこんな言い方もできる。💬
今週はかなり疲れていて、長くは出かけられなさそう。日曜に近くで30分だけお茶しない? 難しければ、また今度で大丈夫。
休む日は、人間関係を諦めた日ではない。返信せず眠る夜も、予定を入れない休日も、あっていい。

黒人の友達と話したい。似た経験をした人に、前置きなしで気持ちを聞いてほしい。そう願うことは、周りと関わる努力を放棄することではない。同じ背景でも相性はそれぞれだけど、そのつながりを求めていい。
同時に、日本人の友達や、別のルーツを持つ友達、ただ写真や映画の趣味が合う友達がほしくてもいい。一人に全部をわかってもらう必要はないんだよね。
探したいのは、一人の人として話せる関係。肌の色や出身地の代表として意見を求められるばかりではなく、好きな作品の話もできるか。嫌だったことを話したとき、「考えすぎじゃない?」と片づけずに聞いてくれるか。
大きな交流会に一人で入るのがつらいなら、主催者に「初参加で一人なのですが、少人数で話せる時間や紹介はありますか」と聞いてみよう。知り合い一人と一緒に行く方法もある。無理に大人数の輪に飛び込む必要はない。
美術館が好きなら、知り合いへの誘いを具体的にしてみる。
土曜の午後、気になっている展示を1時間くらい見に行こうと思ってる。一緒にどう? 見終わったらその場で解散でも大丈夫だよ。
作品が目の前にあれば、まずその話から始められる。仕事のつらさを話したくない日は、「今日は仕事の話は置いて、展示を楽しみたいな」と伝えてもいい。

暮らしている街が好き。よく行く喫茶店も好き。でも、今の会社ではもう働きたくない。この気持ちは、矛盾しない。
残しておきたいのは、選び直していい余地。部署や会社を変えること、生活の拠点を考え直すことは、日本で暮らす力が足りなかったという判定ではない。
別の国での仕事も考えているなら、「どの国なら差別がないか」だけでは答えを出しにくい。検討している街や業界で働く黒人の社会人などに、実際の上司との関係、勤務時間、差別への対応、仕事以外のつながりを聞いてみたい。
すぐに転職や引っ越しができなくても、感じているつらさは変わらず大切に扱っていい。今ここにいることは、この環境をずっと受け入れる約束ではない。
差別に耐えるために、完璧な交友関係を作る必要はない。それでも、職場の評価と関係なく、休日の一部を一緒に過ごせる相手がいることには価値があると思う。🌱
近くに住む大人の友達や言語交換の相手を探すなら、地図から人とつながれる SewaYou も選択肢の一つ。プロフィールには「美術館が好き」「休日の朝に短くお茶したい」など、今の自分が楽しめそうなことを書いてみよう。日本語力を証明するために使う必要はない。
目指すのは、無理なく続く一つのつながり。まずはメッセージでやり取りして、関心が合うか確かめる。初めて会うなら人目のある場所で短時間にして、仕事や自分の経験をどこまで話すかは自分で決めよう。
アプリが差別を解決するわけでも、必ず気の合う人に出会えるわけでもない。それでも、職場の外で誰かと出会う入り口にはなる。
SewaYouをダウンロードして、好きな展示や一杯のコーヒーの話から、無理のない会話を始めてみよう。